長い長い一年だったと思います。

思えば、それまでキャンパスで一度も会わなかった小学校時代の先輩からいきなり頼まれたのが事の始まりでした。

興味はありましたが、人に何かを説明する事があまり得意でない自分ですので、やっていけるのか、これでいいのかという不安が常に心の中に付きまとっていました。

初めての顔合わせで結構親しくなったり。

最初の中間テストの結果で苦笑いを浮かべたり。

ゲームの話題で時間が全部潰れたり。

しりとりで末尾が「る」の言葉ばっかりで攻めて困惑させたり。

自分はずっと前から始めたかったのに、やっと本腰入れ始めたのが12月頃だったり。

前期に落ちて、教えていた自分が申し訳なさのあまり一番ショック受けてしまったり。

それでも、それでも――。

寝てる間に、着信履歴とメールが着てました。

履歴は、生徒から。

メールも、生徒から。

ただ一文、

「高校受かりました」

自分のことのように喜びました。

よかった。本当によかった。

自分の教えた事がどれだけ生徒のためになったのかは自分自身でもわかりませんが、多少は力になったという結果が出たと思います。

メールの返信にちょっとカッコつけて、

「これからも勉強を適当にしないように」

なんて送っちゃいましたが、内心はもの凄く喜んでます。

と、同時に精神的に疲れがドッと出た気がします。

初めての家庭教師が、受験生。

常に試行錯誤の連続でした。

それがたまに遠回りになったり、徒労に終わったり。

ストレス、苦悩、罪悪感、自問自答。

つねに心の中ではネガティブな思考が巡っていました。

それでもこの1年が決して無駄ではなかったんだなと思うと、その疲れもどこかへ消えてしまうようでした。

生徒もこれから新しい一歩を歩もうとしています。

自分もまた、また一歩踏みしめてみようと思いました。

兎にも角にも、本当によかった。

生徒の「どうだ」と言わんばかりの表情を見てやろうと思います。

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